こんにちは。
前回に引き続きGemini(AI)を使って企業の決算書の要約を爆速で行うアシスタントAIを作成する方法について紹介します。
普通にGeminiに調べさせていると、以下のような課題があるかと思います。
- 企業によって決算書の形式や内容が異なるため、企業同士で比較が難しい
- Geminiの回答内容や形式もバラバラ
- 冗長な説明ももれなくついてくる(詳細は別途読めばいいから今は要点と数字だけ欲しい)
- 複数の企業を素早くみたいのに、ひとつひとつ会話で調べさせるのが面倒
これらを解決するために、今回はカスタムGemを使います。
システムプロンプトも公開しますので、皆さんも良かったら作って使ってみてください。
それではよろしくお願いします。
カスタムGemとは?
ある特定のタスクに特化したり、定型的な回答をさせるためにGeminiにはカスタムGemというものがあります。
いわゆる目的特化型Geminiです。
ユーザーの意図に沿って回答内容や形式に制御をかけることができます。
今回は冒頭に挙げた課題を解決するよう、回答に制御をかけてみたいと思います。
カスタムGemは無料プランでも使えますので、無料ユーザーもご安心ください。
要件定義(何ができればよいかを整理する)
ここでいきなり作り出すのではなく、まずAIに何をどのように回答してほしいか、要件定義をしましょう。
今回私が要約として出して欲しいと考えている内容は以下のようなイメージです。
- 進捗率はいくつで、前年と比べて何%か
- 売上高、営業利益は何%変化したか
- 上方修正、下方修正、増配、減配の有無
- 市場予測に対する利益との乖離(コンセンサス比)は何%か
この辺は完全に私の知識と経験則からピックアップしました。
次に使い勝手としては、
- 企業名、または証券コードを入れるだけで自動的に直近の決算書を要約すること
- 余計な説明文や補足情報などは一切記載しないこと
- 最後に企業の公式決算書(1次情報)、かぶたんの企業決算ページや株予報のアナリスト予想ページ(参考になるサイトの2次情報)のURLリンクを貼りつけること
大体こんなところですね。
まずは押さえたい情報を爆速で把握したいので、それ以外の詳細については資料をじっくり読めるようにリンク先だけ教えてくれれば良いことにします。
ではこれをGeminiに伝えることで、カスタムGem用のシステムプロンプトを作ってもらいましょう。
システムプロンプト
上記要件を満たすように作ってもらったシステムプロンプトをベースに、私独自に調整も入れました。
特にシンプルさと視覚的に一発でわかるよう可視化の観点や、コンセンサスとの比較の制御を調整しました。
Role: あなたは株式分析APIです。
Task: ユーザーが入力した企業の最も直近の決算データを抽出し、以下のルールに従って「ビジュアルスコアカード」を出力してください。
# 重要ルール (厳守):
1. **無言を貫く:** 「検索します」「結果はこちらです」などの挨拶や会話は一切禁止。ヘッダーから出力し、リンクで終了すること。
2. **ビジュアル判定ロジック:**
- **ヘッダーの色:**
- 営業利益が増益(プラス) かつ 下方修正なし → 🟢 (良い)
- 営業利益が減益(マイナス) または 下方修正あり → 🔴 (悪い)
- それ以外 → ⚪ (中立)
- **矢印アイコン:** プラス成長なら「📈」、マイナスなら「📉」。上方修正「⬆️」、下方修正「⬇️」。
- **市場評価:** 企業の営業利益、経常利益、当期利益のいずれかをコンセンサスと比較すること。上振れ「✅」、下振れ「❌」、一致「➖」、不明「❓」。どの利益で比較したか記載すること。
# 実行プロセス:
1. ユーザー入力(企業名)に基づき、最新の決算発表を特定する。
2. 以下のデータを検索・抽出する:
- 進捗率(会社予想比)、前年同期の進捗率
- 売上高・営業利益の前年同期比
- 修正(通期予想・配当)の有無
- 市場コンセンサス比較(ソース:株予報Proから探索する)
3. 以下のMarkdownフォーマットのみを出力する。
# 出力フォーマット:
## [🟢/⚪/🔴] [企業名] ([コード]) | [決算期][日付]
* **進捗率:** 🏁 [XX.X]% (前年同期: [YY.Y]%)
* **売上高:** [📈/📉] [前年比 +XX.X% / -XX.X%]
* **営業益:** [📈/📉] [前年比 +XX.X% / -XX.X%]
* **修正等:** [⬆️/⬇️/➡️] [上方/下方/なし] ・ [⬆️/⬇️/➡️] [増配/減配/維持]
* **市場比:** [✅/❌/➖/❓] [ **+XX.X%** / **-XX.X%** / 不明 ] (どの利益で比較しているか)
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**🔗 参照リンク**
* [📄 決算短信 (一次情報)] (決算短信PDFなどのURL)
* [📈 株探 (Kabutan)] (株探の決算ページURL)
* [📰 株予報Pro/コンセンサス] (株予報Proのアナリスト予想ページURL)
コンセンサスの制御は難しいですね。
結構安定しないので、株予報Proの企業ページを出すようにしてますので自分で必ず確認してください。
AIは間違う可能性があることを念頭に、常に疑ってみてください。
ではこれを使ってカスタムGemを作りましょう。
カスタムGemの作り方
まずはGeminiのWebアプリを開きましょう。
左上側に「Gem」があるので、クリックして、画面中央を下にスクロールしましょう。
以下のような画面があり、「+ Gemを作成」ボタンを押しましょう。

すると以下のような画面が表示されますので、必要な情報を設定しましょう。

名前:お好きなものをおつけください。
説明:何ができるか、どんな入力をすればいいかの説明を書いてください。
カスタム指示:ここに先ほどのシステムプロンプトをコピペで貼ってください。
右側でどんなふうに動くかテストもできます。
入力が完了したら右上の「保存」ボタンを押して、少し待つとカスタムGemが完成します。
保存ボタンがチャット開始ボタンに変わったらクリックして確認しましょう。
確認結果
無料版では「高速モード」と「思考モード」があるかと思います。
私が確認した限り高速モードと思考モードで大きな精度差は確認できませんでしたので、高速モードで問題ないかと思います。(本記事のテーマも「爆速」なので)
直近の2/13に決算書を出した三菱HCキャピタルとMS&ADで実験してみましょう。
まずは三菱HCキャピタルの結果がこちら。

あーいいですね!このスッキリ感と統一感!
ちゃんと証券コードで入力しても認識してくれてます。
日付も入れたのは、直近ではなく1,2年ぐらい前のものを呼び出すことがあったためです。
何度か入力すれば直近のものを出してくれますが、日付も入れるとより精度が上がります。
売上高、営業益、リンク先も正しいことを確認しました。
ただ進捗率や市場比は間違っているので、後はリンク先から自分で確認しましょう。
続いてMS&ADです。

三菱HCキャピタルと業種は異なりますが、同じような形式で出力できます。
そしてMS&ADの正式名称(MS&ADインシュアランスグループホールディングス)と全て入力しなくても理解してくれているのは良いですね。
また今回は日付を入れなくても正しく直近のものを出力できました。
売上高は安定して正解を出してくれますね。
今回は進捗率は正しいですが、経常益が少し間違ってます。
市場比はなかなか正解しないので、これはもはや外しても良いかもしれません。
高速モードで解くにはコンテキスト的に多すぎるかもしれません。
除外すれば、他の項目を解くためのリソースが安定して正解率もあがる可能性がありそうです。
この辺は使いながら調整してみてください。
まとめ
今回はカスタムGemを使って決算書を爆速で要約するアシスタントを作ってみました。
これで企業が決算を出した時、今までだとGoogle検索で公式ページや株探のページから企業の情報をググっていたところ、カスタムGemに企業名を入れるだけで一瞬で必要な情報のみを教えてくれます。
私はスマホのGeminiアプリにこのカスタムGemを使って、気になる企業が決算を出すとすぐ入力して確認するようになりました。
また正しい情報が何かも自分の目と頭で考える練習にもなっていいですね。
是非皆さんもカスタムGemを作って使うことで、より快適で豊かな生活の構築に役立ててみてください。
ここまでご覧いただきありがとうございました!
